懐かしいピザ
ピザが私にとって懐かしい味だなんて、思いも寄りませんでした。
物心ついた頃から、そりゃあもう年号も変わろうとする位、時を経ました。
ピザが珍しい時代に育った私です。子どもの頃は気軽に宅配ピザを頼まず、クリスマスなどの特別な日に頼むくらいでした。
盛んに放映される宅配ピザのCMは垂涎ものの世界だったのです。
今、40代になって、ある程度色んなものを食べてきて、ピザもローマタイプだのアメリカンタイプだのと違いが分かる程度になりましたが、ピザの特別感はまだ残っています。
特別といいますか、ごちそうという感覚です。
ある日、近所のとある飲み屋さんで、常連さんの中でおいしいと人気の手作りピザを食べた時にその感覚が変わりました。
意外でした。
どこか懐かしい味だと思いました。
私の中でのピザの位置が、どこか取っつきにくかったのに、まるで覆すように懐かしいと感じるのは何故だったのか、不思議な感覚でした。
それから、何かいい事や特別な事があった時に、ここのピザを食べようと思いました。