餡とコーヒー

和菓子とコーヒーに癒されるひとりが書いています。

誰も悪くないループ

誰かが小石につまづいて、嫌な気持ちになったとします。

 

それを見ていた何の関係もない人が、

昨日のテレビを思い出してふふっと笑ったとします。

 

その笑い声で振り返った別の人がいます。

 

小石につまづいた人は、

「ちくしょう」とひとりで悪態をつきました。

 

近くにいた小さな子ども連れの人は、非難の目で悪態をついた人を見ました。

 

通りかかった老人はその視線を追って、

小石につまづいた人を戒めようと、咳払いをしました。

 

咳払いの声は辺りに響き、学生は嫌な気持ちになりました。

学生は隣の友達に「ありえなくね」と呟きました。

 

友達は同意の意味で「あははっ」と笑い出しました。

 

小石につまづいた人は、

何にも悪くないのに、

気分が悪く悲しくなりました。

 

家に帰って晩酌をしました。

テレビのバラエティが笑えて、昼間のことは忘れました。

 

次の日、

 

会社に向かう途中にテレビ番組の事を思い出し、

笑いを堪えた表情で歩いていました。

 

その時すれ違った50歳代の女性は、

失業したばかりの朝でした。

 

お昼のニュースでは

女性の人身事故の報道がされました。

 

そのニュースを聞いていた

小石につまづいたその人は、

何も思わずラーメン店の順番を待ちながらスマホのゲームをしていました。

 

誰も悪くない。

 

日常のループの中のひとコマです。